土地の造成とは?主な工事の種類や流れについて解説

土地の造成とは?主な工事の種類や流れについて解説

相続した土地を有効活用するときに、土地の造成を検討する方は多いでしょう。
しかし、どのようなケースで造成が必要になり、工事にはどのような種類があるか具体的な内容を知る方は少ないはずです。
そこで今回は、土地の造成とは何か、主な工事の種類や工事を進めるときの流れを解説します。

土地の造成とはどのような行為か

土地の造成とはどのような行為か

土地の造成とは、土地を有効活用するために目的・用途に合わせて区画や形を整えることです。
たとえば、樹木が生い茂った傾斜地にアパートやマンションを建てるために、樹木を伐採・伐根し、地面を平らにする工事などがあります。
また、ケースによっては、盛土や切土の斜面が崩れないよう、擁壁をつくる必要があるでしょう。
地盤が弱い土地では、土地を改良して地盤強化を促さなければなりません。
これら一連の流れを「土地の造成」と呼び、土地を造成するための工事は「造成工事」といいます。
土地を造成するメリットは、以下のとおりです。

土地の資産価値が上がる

使っていない土地を造成すれば、土地を有効活用でき、結果的に資産価値が上がります。
将来的な売却がしやすくなるため、相続などで引き継いだ土地は造成を検討してみましょう。
造成された土地は建物の建築がしやすく、賃貸物件やコインランドリー経営なども可能です。
土地の有効活用を検討している方は、土地の造成も視野に入れてみることをおすすめします。

災害に強い土地になる

土地を造成すると、地盤や土地の状態を改善できます。
災害に強い土地になるため、所有者の安心材料となるでしょう。
生活に適した形へと変貌できるのも特徴で、ライフスタイルに合った建物が建築できます。
所有している土地の寿命を延ばしたいなら、造成を検討してみると良いでしょう。

地域の発展に貢献する

土地の造成は、地域発展に貢献する可能性があります。
住宅景観を良くするなど、周辺環境の改善を促せるはずです。
土地の造成にはさまざまな種類があるので、状況に合わせて選択してみると良いでしょう。
適切な改善ができれば、周辺エリアの価値を上げられる可能性もあります。
周辺エリアの価値が上がると、将来的な売却で多くの利益を残しやすくなるでしょう。

土地の造成工事の主な種類とは

土地の造成工事の主な種類とは

土地の造成工事は、主に以下の4種類に分けられます。
それぞれ特徴を確認しておき、状況に合わせて適切な方法を検討してみましょう。

種類①土地の整地

土地の整地とは、重機を使って土地を平坦に地ならし・転圧して踏み固める工事です。
古い建物があるケースでは、解体後にガレキや大きな樹々などを取り除きます。
必要があれば、ローラーを使って地面を平らにしていくのが一般的です。
土地活用の種類によっては、地面に砂利を敷き詰めたり、コンクリートを敷いたりする工程があります。
これらの仕上げ方法は「粗造成」や「粗仕上げ」とも呼ばれているので、覚えておくと良いでしょう。
整地をおこなえば、次の土地活用がしやすくなるため、工事途中でもおこなわれる可能性があります。
もともとデコボコな土地は整地をおこなう必要性が高いので、はじめの工程として押さえておきましょう。

種類②樹木の伐採・防草

伐採とは、樹木を切り倒す行為を指します。
樹木や草・花などが土地に多いケースでは、伐採を検討するのが一般的です。
一方、防草とは、防草シートを被せる措置を示します。
更地でも草木が生い茂っている土地には建物が建てられないため、伐採・防草が必要です。
なお、土地活用のプランがすでに決まっているときには、あえて緑の一部を残すなど、土地の持つ自然を有効活用できます。
そのようなケースでは、建物の建築に支障をきたなさいか検討する必要があるでしょう。

種類③土地の地盤改良

土地の地盤改良とは、用途に応じて地盤の強度を高める改良をおこなうことです。
とくに田んぼや埋め立て地は地盤が軟弱なケースが多く、そのまま建物を建築すると、将来不同沈下して傾くおそれがあります。
地盤改良の主な種類は、表層部分の土にセメント系固化材を混ぜて固める「表層改良」と、建物を支えるためおこなう「柱状改良」です。
その他、鋼管杭を用いた工法もあるので、状況に合わせて検討してみましょう。

種類④土地の土盛・土止

土盛とは、土砂や土などを埋め立てて地面を高くする工事です。
地盤面が道路や周囲の土地に比べて低いと、大雨・台風によって水が流れ込み、土地が水没したり建物が浸水したりするおそれがあります。
これらのリスクを減らすためには、盛土をして地盤面を高くしなければなりません。
土止は、高低差のある土地や盛土によってできた斜面が崩れないように擁壁をつくることです。
状況に合わせて、鉄筋コンクリートやブロックなどで壁状の構造物を築造します。

土地の造成工事を進めるときの流れ

土地の造成工事を進めるときの流れ

土地の造成工事をおこなうときは、以下の流れを踏むのが一般的です。
事前に注意点を確認しておけば、土地の造成工事はスムーズに進むでしょう。
余計な費用や手間をかけないためにも、ポイントを把握しておくことをおすすめします。
土地を造成するときの流れは、大きく4ステップです。

流れ①土地活用の専門会社に相談する

土地の造成を検討しているなら、まず専門会社に相談をしましょう。
土地活用の実績がある会社は、税金や法律に熟知している可能性があります。
不動産を所有していると、固定資産税や都市計画税が発生するので、事前に内容を確認しておくことが大切です。
これらの税金は土地の用途によって計算方法が異なるため、活用方法によっては税額が高くなるおそれがあります。
また、建築規制を受けたり、特例を適用できたりする可能性があり、ケースによってトータルコストに差が出てくるでしょう。
より少ない費用で土地の造成をおこなうには、専門会社への相談が欠かせません。

流れ②工事申請許可を取得する

土地の造成には、自治体からの工事許可が必要になる可能性があります。
しかし、これらの手続きは、土地活用の専門会社や造成工事会社などがおこなうケースがほとんどです。
造成工事が規制されている区域では、その地域の知事や市長に許可申請を提出し、承認を得る必要があると覚えておきましょう。

流れ③地鎮祭と地盤調査をおこなう

自治体からの許可が下りたら、地鎮祭を執りおこないます。
工事の安全を祈願する重要な儀式となっているので、丁寧に進める必要があるでしょう。
流れやお供物などは事前に確認しておくことが大切です。
地鎮祭が終わると、地盤調査へと流れが進みます。
地盤調査をおこなえば、地盤の弱さや必要な工事が把握できます。
災害時の危険を回避するためにも、工事開始前に確認しておきましょう。

流れ④必要な工事を施す

地盤調査が終わると、造成工事がはじまります。
ケースに応じて、整地や樹木の伐採・残土処分などをおこないましょう。
工事内容を考えるときには、予算を考慮するのがポイントです。
使える金額の上限と希望の金額を定めておけば、予算オーバーとなる心配もないでしょう。
工事内容にこだわり過ぎると余計な費用がかさんでしまうため、慎重に計画する必要があります。

まとめ

土地の造成とは、土地活用のために目的・用途に合わせて区画や形を整える行為です。
主な種類として、整地や伐採・地盤改良などが挙げられます。
造成工事をおこなうときには、まず土地活用の専門会社に相談し、ケースによっては自治体から工事申請許可を取得しなければなりません。