戸建賃貸の活用・管理事例|住まなくなった家の貸し方・家賃・工事を考える

賃貸管理・賃貸経営

岩木 栄暁

筆者 岩木 栄暁

不動産キャリア15年

福岡市を拠点に、不動産の売却・購入、宅地開発、戸建建築、賃貸管理、相続問題など、幅広い実務に携わっています。全国どこでも出張可能です。
不動産は物件ごとに条件が異なり、正解も一つではありません。これまでの経験をもとに、メリットだけでなく注意点や判断材料も、できるだけ分かりやすくお伝えすることを大切にしています。
不動産に関する小さな疑問も、お気軽にご相談ください。

戸建賃貸の活用・管理事例。貸し方、家賃設定、工事の見直しを紹介

新しい家を建てた後、以前住んでいた家をどうするか。売却するか、貸し出すかを決められず、そのままになっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、住まなくなった木造戸建について相談を受け、一般家庭向けに加え、事業者の利用も想定して募集し、高齢者向けグループホームとして賃貸契約が成立した事例です。その後の管理も任せていただいています。

検討したのは、募集時の家賃だけではありません。間取りやリフォームの内容に合う使い方、駐車場の貸し方、借主が行う工事、契約後の管理まで、一つずつ条件を整理しました。

戸建賃貸では、近隣の家賃を調べて募集するだけでなく、その建物を誰に、どのような条件で貸すかを考えることが重要です。

※実際のご相談から賃貸契約、その後の管理まで対応した事例です。関係者のプライバシー保護のため、所在地や運営事業者名は掲載していません。

募集から契約後の管理までの流れ
建物と貸し方の検討、募集条件の調整、工事と契約条件の調整、契約後の管理という4段階
  1. 01

    建物と貸し方を検討する

    間取り・改装状態を確認。
    一般家庭・事業者へ募集。

  2. 02

    募集後の反応を見て
    条件を調整

    閲覧状況などを分析。
    家賃・駐車場条件を調整。

  3. 03

    工事と契約条件を調整する

    材料や工事方法を見直す。
    敷金・礼金は当初条件で。

  4. 04

    契約後も管理を続ける

    対応する人・承認方法を決定。通常・緊急時の窓口を用意。

借り手が決まった後まで見据えて、貸し方を組み立てる。

本件の実例を整理したものです。必要な業務や対応範囲は、物件ごとに打ち合わせます。

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1.以前住んでいた家を、どう活用するか

オーナー様は新しい家を建てた後、以前住んでいた家を使わずにいたため、何か活用できないかと考えていました。

相談時のお話では、既に別の不動産会社にも相談し、近隣の戸建賃料を参考に、月額7~8万円程度での募集を案内されていたそうです。ただ、具体的な活用方法や賃料設定の理由について十分な納得感が得られず、当社へ相談に来られました。

その金額が適切かどうかは、建物の状態や募集条件を調べなければ判断できません。そこで、物件の特徴と、比較する物件の条件を確認し、貸し方から検討しました。

対象は築年数の経った木造戸建でしたが、約8年前に水回りや内装・クロスなどの全面改装が行われていました。また、部屋が区分けされた間取りと、約6台分を確保できる駐車スペースがありました。

築年数だけで評価するのではなく、現在の建物の状態と、使い方の可能性を見る必要がある物件でした。

2.一般家庭だけでなく、事業者向けにも募集する

戸建住宅の借り手は、一般家庭だけとは限りません。建物や敷地の条件によっては、事業者の利用も候補になります。

今回、emonでは一般家庭向けの戸建賃貸に加え、グループホームや、自宅兼店舗、整骨院・鍼灸院、美容室、訪問介護の事業所などとしての利用も考え、募集することを提案しました。

部屋が区分けされた間取りは、グループホームとしての利用を検討しやすいと考えました。また、駐車スペースが多いことも、職員や来訪者が車で訪れる事業者への提案に生かせると考えたためです。

ただし、間取りや駐車場が合っていても、そのまま開業できるとは限りません。その場所で希望する事業を行えるか、建物や消防設備が必要な基準を満たしているか、どのような手続きや工事が必要かを確認する必要があります。

一般家庭への貸し出しに限らず、建物に合う借り手と使い方を探す。この視点が、今回の募集方針の出発点でした。

3.家賃を決め、募集後の反応を見ながら調整する

家賃を決める際は、近隣で募集中の物件だけでなく、実際に賃貸契約が成立した物件の条件も比較しました。

立地の違いを比較する参考として、路線価(相続税などの計算に使う、道路ごとの土地評価の基準)も確認しました。比較する物件がリフォームされている場合は、工事内容や想定される費用、家賃にどの程度の違いが出ているかも検討しています。路線価や工事費だけで家賃を決めるのではなく、こうした条件を合わせて判断しました。

今回の物件は築年数こそ経っていましたが、全面改装された水回りや内装を家賃に反映できると考え、まずは月額13万円で募集しました。

ただし、家賃は決めたら終わりではありません。募集開始後の物件ページの閲覧状況などを分析し、約1か月後には月額12万5,000円に変更。その約2か月後、高齢者向けグループホームの運営事業者との賃貸契約が成立しました。

募集から契約までの経過と月額条件
募集開始13万円から12万5,000円へ調整し、追加駐車場3台と合わせ月額14万円で契約した経過
  1. 01

    募集開始

    月額13万円

    一般家庭・事業者へ募集。
    駐車場1台分込み。

  2. 02

    約1か月後

    月額12万5,000円

    物件ページの閲覧状況などを分析。家賃を見直して募集を継続。

  3. 03

    さらに約2か月後

    契約成立

    グループホームの運営事業者と契約。

建物の家賃(駐車場1台分込み)
12万5,000円
+ 追加駐車場3台
1万5,000円
契約した月額の合計
14万円

金額は募集・契約時の税抜表示額です。

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建物賃料と追加駐車場料を合わせた月額は14万円となりました。残りの空き区画についても、駐車場として募集しています。

駐車場をすべて建物賃料に含めず、1台分を基本条件とし、2台目以降を有料に分けたことで、借主が必要とする台数に応じて契約条件を整理できました。

なお、相談前に示されていた7~8万円は、それまで実際に受け取っていた賃料ではありません。今回の契約とは用途や駐車場条件も異なるため、金額の差がそのまま家賃収入の増加を表すわけではありません。

重要なのは、物件の良さを家賃に反映しつつ、募集後の反応に応じて条件を見直したことです。

4.敷金・礼金の減額交渉から、借主の工事計画を見直す

契約に向けた調整では、借主側から敷金・礼金の減額交渉がありました。

そこで当社は、借主側が予定している工事内容を確認し、工事の方法や費用を見直せる部分がないか検討しました。

一つが、2階の窓に設置する手すりです。借主側業者の当初見積りはメーカーの既製品で、材料費20万円、工賃8万円の合計28万円(税別)でした。

当社は戸建住宅の建築も行っているため、その知識を生かし、木製の手すり材とステンレスパイプをデザインに合わせて使い分ける方法を提案しました。最終的な材料・取り付け方と安全性は当社でも確認しました。工事と費用負担は借主側で行い、実際にかかった材料費と工事費の合計は約8万円(税別)となりました。

当初案から材料や取り付け方を見直し、実際の工事費を抑えた事例です。

配線工事も確認しました。室内の壁に埋め込む計画が多かったため、見た目に問題が出にくい部分では、一部は壁に埋め込まず、壁の表面に沿って配線する方法も提案しました。

こうした工事内容の見直しにより、最終的には敷金・礼金を減額せずに契約できました。

工事内容を見直し、敷金・礼金は当初条件で契約
手すり工事の当初見積り28万円に対し、材料や取り付け方を変更した実際の工事費は約8万円。施工と費用負担は借主側

当初の手すり工事見積り

28万円

材料費20万円+工事費8万円

材料・取り付け方を変更

見直し後の実際の工事費

約8万円

材料費+工事費の合計

手すり
木製の手すり材とステンレスパイプを使い分け。
配線
一部は壁に埋め込まず、壁の表面に沿わせる方法を提案。

施工・費用負担は借主側。最終的な材料・取り付け方と安全性は当社も確認。

敷金・礼金を減額せず、契約成立。

金額は税別で、手すり工事のみです。当初案から材料・取り付け方を変更しています。

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敷金は退去時の精算などに備えて預かるお金で、礼金とは異なります。今回は、借主が最初に負担する工事費を抑えることで、敷金・礼金を当初の条件のまま契約できました。

敷金・礼金の減額交渉に対し、借主の工事費まで確認する。建築の知識を生かした提案が、双方が契約を進める助けになりました。

5.契約後も、誰が対応し、何を判断するかを決めておく

今回の物件は、入居者募集と契約に加え、その後の賃貸管理も任せていただいています。

事業者が戸建を利用する場合には、借主が工事した部分や設置した設備について、故障したときの連絡先、工事前に誰の承認が必要か、費用を誰が負担するかを決めておくことが重要です。

管理を依頼する際には、次のような事項を確認しておきたいところです。

  • 入居中の問い合わせは、誰が窓口になるか
  • 設備の故障や建物の不具合を誰が確認し、修理業者を手配するか
  • 貸主と借主の責任・費用負担をどう分けるか
  • 管理会社の判断で対応できる範囲と、貸主の承認が必要な範囲
  • 緊急時の連絡方法と、承認を得られない場合の対応

管理会社が入っていても、これらが決まっていなければ、結局は所有者がその都度判断し、連絡を取り持つことになります。

emonでは、通常の窓口とは別に、緊急連絡用の24時間対応窓口を設けています。通常の工事はオーナー様の承諾後に進めることを基本とし、緊急時には事前承認を省略して対応する場合があります。ただし、5万円(税別)を超える工事は承認を得る運用です。

24時間対応でも、現地への到着や修理完了までの時間は、故障の内容などによって異なります。どこまで管理会社に任せるか、何をオーナー様に確認するかは、物件の状態やご希望をお聞きし、詳しく打ち合わせます。

6.戸建賃貸の相談は、貸し方から管理まで

今回の事例では、使われていなかった旧居について、間取り・リフォームの内容・駐車スペースを確認し、一般家庭向けと事業者向けの双方で募集しました。

募集後の反応を見ながら家賃を調整し、駐車場の台数や料金、借主が行う工事、敷金・礼金について話し合いを進め、契約が成立しました。現在は、その後の管理にも対応しています。

すべての戸建がグループホームや店舗に適しているわけではありません。一般家庭へ貸す方がよい物件もあれば、改修費や将来の利用予定によって、売却を含めた検討が必要な場合もあります。

戸建賃貸で大切なのは、募集できるかだけでなく、物件に合う貸し方と、契約後も継続できる管理方法を考えることです。

使っていない旧居の活用、現在の募集条件、入居中の管理負担などにお悩みの方は、物件の状況と困っている点をお聞かせください。

管理の対応地域は、北九州市・筑紫野市・糸島市までを含むエリアです。管理料は賃料総額の5%(税別)を基本とし、物件の所在地や状態をお聞きしたうえで、管理をお引き受けできるか、どの業務に対応するかをご案内します。

管理サービスについて詳しく見る

参考資料

運営:株式会社Emon

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