アパート・賃貸マンションの管理会社選び|修繕・苦情を「対応中」で止めない管理

賃貸管理・賃貸経営

岩木 栄暁

筆者 岩木 栄暁

不動産キャリア15年

福岡市を拠点に、不動産の売却・購入、宅地開発、戸建建築、賃貸管理、相続問題など、幅広い実務に携わっています。全国どこでも出張可能です。
不動産は物件ごとに条件が異なり、正解も一つではありません。これまでの経験をもとに、メリットだけでなく注意点や判断材料も、できるだけ分かりやすくお伝えすることを大切にしています。
不動産に関する小さな疑問も、お気軽にご相談ください。

「管理会社には連絡した。でも、その後どうなったのか分からない」
「修繕の見積書は届くけれど、今すぐ必要なのか判断できない」
「任せているはずなのに、業者への確認も、入居者への説明も自分がしている」

一棟アパートや賃貸マンションを所有していて、こうした負担を感じていないでしょうか。

管理会社を選ぶとき、管理手数料や入居者募集の力は大切です。加えて確認したいのが、修繕や苦情が発生した後の進め方です。連絡を受け付け、業者を手配しても、確認や判断が途中で止まれば、オーナーの負担は残ります。

emonでは、一棟の賃貸住宅について、管理・管理会社変更・修繕・ご相談に対応し、修繕の工法や工事範囲、実施時期を見直す業務も経験してきました。実際に寄せられた管理への不満や、こうした実務経験を踏まえ、管理を任せる際に確認したいポイントを整理します。

1.「対応中」の中身が分かると、管理の質が見えてくる

例えば、共用廊下の照明について、次のような場面を考えてみます。
これは当社でも実際にオーナーから相談を受けた例です。

【管理の進め方を考えるための例】

共用廊下の照明が消え、交換の手配が済んだと報告がありました。しかし、しばらくして同じ場所の照明が再び消え、入居者からオーナーへ直接連絡が入ります。管理会社に確認すると「業者へ連絡しています」との返答でした。

この対応に不満を感じたオーナーから当社へご相談があり、その後、管理をお任せいただきました。

この段階で知りたいのは、業者に連絡した事実だけではありません。

  • 現地を確認する予定は決まっているのか。
  • 同じ不具合が繰り返される原因を、誰が確認するのか。
  • 通行に支障がある場合、当面の安全をどう確保するのか。
  • 次の報告はいつで、修理後は誰が点灯を確認するのか。
修繕の連絡後は、予定・原因・安全対策・完了確認まで、進め方を確かめましょう。
修繕対応で確認したい4つのこと。現地確認の予定、不具合の原因、当面の安全対策、修理後の確認。
  1. 現地確認の予定

    現地確認の予定と担当者を確かめます。

  2. 不具合の原因

    同じ不具合が繰り返される原因を、誰が確認するのかを確かめます。

  3. 当面の安全対策

    通行に支障がある場合、修理までの間の安全をどう確保するのかを確認します。

  4. 修理後の確認

    次の報告はいつで、修理後は誰が点灯を確認するのかを確かめます。

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対応には、部品の取り寄せや入室調整などで時間がかかる場合もあります。大切なのは、時間がかかる理由と、その間に進めることが分かることです。

「対応中」と聞いたら、「何を待っていて、次は誰が動くのか」まで確認する。これが、管理の進め方を見る一つの基準になります。

騒音の苦情など、一度の連絡で解決しにくい問題でも同じです。解決していないことに加え、聞き取りや注意、経過確認をどこまで行い、次に何をするのかを共有できているかが重要です。

2.修繕見積りは「実施する・しない」を判断できる内容か

見積書の金額だけを見て、工事の必要性を判断するのは難しいものです。管理会社には、少なくとも次の点を説明してもらいたいところです。

  • 何が不具合で、どこまで原因が分かっているのか。
  • 急いで対応する必要があるのか。待つと何が起こり得るのか。
  • 部分的な修理と設備の交換を、どのように比較したのか。
  • 今回の工事に含む範囲と、含まない範囲はどこか。
見積りの金額と合わせて、原因・緊急性・修理や交換の選択肢・工事範囲を確認します。
修繕見積りを判断する4つの視点。原因、緊急性、修理と交換、工事範囲を確認する図解。
  1. 原因

    何が不具合で、どこまで原因が分かっているのかを確認します。

  2. 緊急性

    急いで対応する必要があるのか、待つと何が起こり得るのかを確認します。

  3. 修理・交換

    部分的な修理と設備の交換を、どのように比較したのかを確認します。

  4. 工事範囲

    今回の工事に含む範囲と、含まない範囲を確認します。

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原因がまだ分からない場合は、最初から工事内容を断定せず、調査が必要なことと、その費用や進め方を整理する必要があります。管理会社だけで判断できない部分は、専門業者などの確認につなぐことも大切です。

また、見積りを比較するときは、金額だけでなく、材料、施工範囲、撤去・処分、復旧作業などの条件を揃えます。一方の見積りに含まれていない作業があれば、そのままでは価格の比較になりません。

修繕費を抑えることと、必要な修繕を先送りすることは、分けて考える必要があります。安全や漏水被害に関わる対応を遅らせれば、影響が他の住戸へ広がるおそれもあります。一方、緊急性が低い工事は、範囲や時期を見直せる場合があります。

一棟物件では、各住戸の給湯器やエアコンなど、設備ごとの更新も積み重なります。故障のたびに初めて設置時期を調べる状態よりも、分かる範囲で交換履歴を残しておく方が、次の支出を考える材料になります。ただし、年数だけで一律に交換を決めず、状態や修理の可否も含めて判断します。

3.共用部は「巡回した・清掃した」の先まで確認する

共用廊下や階段、ごみ置場などは、入居者が日々使う場所です。清掃や巡回を依頼していても、同じ汚れや不具合が続く場合は、作業の内容と、その後の対応を確認してみましょう。

例えば、ごみ置場の散乱が繰り返される場合、清掃で片付けることに加え、収集日との関係、分別案内の分かりやすさ、置場の使われ方などを確認する余地があります。原因によって、清掃回数の調整が必要なのか、案内の見直しが有効なのかも変わります。

巡回写真についても、写真が届くことだけで評価せず、「前回から何が変わったか」「修繕や追加の確認が必要な箇所はあるか」が分かるかを見ます。繰り返し発生する問題なら、過去の写真や対応履歴と比べられると、次の対策を考えやすくなります。

清掃、設備点検、修繕などを専門業者へ委託すること自体は、問題ではありません。確認したいのは、業者が見つけた不具合を誰が受け取り、見積りや改善、その確認まで進めるかです。

清掃担当、点検担当、管理担当の間で情報が止まれば、現場では分かっていた問題が、オーナーに伝わらないまま残ることも考えられます。依頼先の数とともに、情報をまとめる窓口が明確かを確認しましょう。

4.24時間対応は、夜間にどこまで進められるかを聞く

「24時間対応」という案内を見たら、受付後の流れまで確認することが大切です。

夜間の連絡を受ける窓口、緊急性を判断する担当、現地で応急処置を行う業者、翌日以降の修理を進める担当は、それぞれ役割が異なる場合があります。

例えば夜間に漏水の連絡があれば、状況を聞き取り、必要に応じて被害の拡大を抑える対応につなぎ、その後に原因調査や本格的な修理を進めます。夜間にできる応急処置と、後日行う工事を区別して説明してもらえると、オーナーも状況を把握しやすくなります。

当社には24時間の対応窓口があり、担当者不在時の緊急対応も、工務窓口での一次対応や応急処置につなぐ体制があります。共用部の巡回・清掃・設備点検についても、業務内容に応じて専門業者への委託を組み合わせて対応します。

管理を依頼する際には、こうした体制に加え、オーナーへ連絡する基準、事前承認を必要とする工事、緊急時の費用の扱いまで確認してください。管理料に含まれる業務と、出動・工事などで別途費用がかかる業務も、契約内容に沿って明確にしておきたい点です。

5.管理報告には「終わったこと」と「残っていること」を

入出金の報告で分かるのは、主にお金の動きです。建物の状態や、これから必要になる判断も把握するには、修繕や入居者対応の情報を合わせて見る必要があります。

当社では、入出金に加え、未対応の不具合、修繕履歴、写真、今後必要な対応もオーナーと共有します。

報告を見る際には、次のように整理されていると、判断すべきことを把握しやすくなります。

管理報告は、完了したことに加え、対応中のことやオーナーの判断が必要なことも整理して確認します。
管理報告を完了、対応中、オーナーの判断待ち、経過観察・今後の検討の4つに整理した図解。
  1. 完了

    実施した内容と、結果の確認方法を見ます。

  2. 対応中

    何を待っているか、次に誰が、いつ動くかを確認します。

  3. オーナーの判断待ち

    選択肢、費用、返答が必要な時期を確認します。

  4. 経過観察・今後の検討

    今すぐ工事をしない理由と、次の確認時期を確認します。

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この整理は、特別な報告システムがなくても使える、管理内容を確認するための見方です。すべてを毎回長い資料にする必要はなく、緊急性や判断の要否が伝わることを優先します。

オーナー側にも、確認したい役割があります。見積りへの返答が保留になっていれば、工事が進まないこともあります。管理会社と、連絡方法や返答の目安、担当者が不在の場合の連絡先を決めておくと、双方の行き違いを減らせます。

不具合が少ないことと、不具合を把握できていないことは、報告がなければ見分けにくいものです。満室で家賃が入っている時期にも、建物と対応状況を確認しておくことが大切です。

6.管理会社を変える前に、最近の一件を振り返る

現在の管理に不満があるときは、最近の修繕や苦情を一件選び、最初の連絡から今までを振り返ってみてください。

  • 最初の連絡を受けて、何を確認したか。
  • 工事や対応の判断に必要な説明があったか。
  • 途中経過と、次の予定が分かったか。
  • 完了後の結果、または残る課題が共有されたか。
  • オーナー自身が、どこまで連絡や調整を担ったか。

この振り返りで、業務が契約に含まれていなかったのか、担当者との連絡方法に問題があったのか、依頼した対応が止まっていたのかを整理します。

まず現在の管理会社へ改善を求めることで解決する場合もあります。業務範囲や費用の見直しで対応できることもあるでしょう。一方、依頼と確認を重ねても進まず、オーナーが調整を引き受け続けているなら、管理会社の変更を検討する理由になります。

自主管理から委託する場合も、同じ視点が使えます。入金確認は自分でできても、夜間の連絡や修繕の判断、業者との日程調整が負担なら、その部分を任せられるか確認してください。

管理手数料を比較する際には、清掃・点検・緊急対応などの別途費用と、自分に残る作業も合わせて考えることが大切です。手数料が安くても、希望する業務が含まれていなければ、負担は思ったほど減りません。

emonでは、アパート・賃貸マンションの管理委託、管理会社変更についてご相談を承っています。物件の所在地、現在の管理方法、特に負担に感じていることをお聞かせください。今の管理で改善したい点を整理し、必要な業務と対応範囲を一緒に検討します。


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参考資料

運営:株式会社Emon

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