省エネ住宅とはどんなもの？具体的な性能基準と住宅の種類を解説

マイホームの購入をお考えの方のなかには、省エネ住宅に興味を持たれている方がいらっしゃるかもしれません。
省エネ住宅にはメリットがありますが、どのような性能があるかは住宅の種類によって差があります。
そこで今回は、省エネ住宅とはどのようなものなのか、省エネ住宅と呼ばれるために必要な性能と具体的な性能基準、省エネ住宅の種類を解説します。

省エネ住宅と呼ばれるために必要な性能

省エネ住宅と聞いて、何となく電気代を節約できる住宅だとイメージできても、具体的な性能についてはご存じないかもしれません。
まずは、省エネ住宅と呼ばれるために必要な3つの性能について、その内容を見てみましょう。

省エネ住宅とは

省エネ住宅とは、とくに電力消費の大きい冷房・暖房にかかる費用を節約できる住宅のことです。
どのように光熱費を節約しているかは、冷房・暖房効率を上げることがポイントになります。
冷房・暖房の効率を上げるためには3つの住宅性能が大きく影響していて、この3つの住宅性能で一定の基準を満たすものが省エネ住宅と呼ばれます。

省エネ住宅の性能①断熱

省エネ住宅と呼ばれるために必要な性能の1つ目に挙げられるのが、断熱です。
断熱性能の高い住宅は、真夏・真冬に外気の影響を受けにくく、比較的少ないエネルギーで冷房・暖房を動かせます。
断熱性能の低い住宅だと、真夏に外からの熱が入りやすく、室内で冷房を使用してもなかなか室温が下がりません。
また、真冬には外から冷気が伝わり、室内で暖房を使用しても寒く感じられます。
このように、断熱性能の低い住宅では、快適な室温を保つためにエアコンをフル稼働させることになります。
一方で、省エネ住宅であれば、最小限のエアコン稼働のみで快適な室内環境を保てることが特徴です。

省エネ住宅の性能②日射遮蔽

省エネ住宅に欠かせない性能の2つ目には、日射遮蔽が挙げられます。
日射遮蔽性能とは、断熱性能と似ていますが、太陽の日差しを遮ることに特化した性能です。
この日射遮蔽性能が重要になるのは、日差しによって室内の温度が上がりやすい夏場です。
省エネ住宅のなかでも日射遮蔽性能が高い住宅であれば、太陽の日差しの影響を受けにくく、冷房の使用を最小限に抑えられます。

省エネ住宅の性能③気密

省エネ住宅の性能の3つ目が、気密です。
気密性能とは、隙間がなく、空気の移動を抑制する性能のことであり、気密性能の高い住宅ほど快適な室温を保てます。
気密性の低い住宅では、エアコンで冷やされた空気や暖めた空気が逃げやすく、エアコンの効きが悪いと感じられることがあります。
気密性の高さは省エネ住宅にとって重要なポイントですが、快適な住環境の確保のためには換気も大切です。

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省エネ住宅における性能基準

省エネ住宅とは、省エネルギー基準をクリアした住宅のことで、具体的な性能基準は2項目あります。
省エネルギー基準の内容とともに、2つの性能基準をチェックしておきましょう。

省エネルギー基準とは

省エネルギー基準とは、昭和55年から形を変えながら推進されてきた建築物省エネ法において、省エネルギー性能を実現するための努力義務として提示された基準です。
もともとは、断熱性能・日射遮蔽性能といった、住宅の屋根や壁など外皮の性能評価のための基準でしたが、平成25年以降はこれにくわえて使用エネルギー量も評価の基準となっています。
省エネルギー基準は全国一律ではなく、気候条件でわけられた8つの地域ごとに異なる基準値が提示されています。

性能基準①外皮基準

省エネルギー性能の2つの基準のうち、断熱性能・日射遮蔽性能に関連するものが外皮基準です。
外皮とは、住宅をおおっている屋根・壁・窓などの部分のことであり、これらがどれほどの性能を持つかは2つの数値で評価されます。
断熱性能の面から、外皮性能を評価するのは外皮平均熱貫流率で、UA値とも呼ばれています。
また、日射遮蔽性能の評価は、冷房期の平均日射熱取得率が評価基準です。
この冷房期の平均日射熱取得率はηAC値とも呼ばれ、UA値とともに数値が低いほど、省エネ性能にすぐれていることになります。

性能基準②一次エネルギー消費量

省エネルギー性能の2つの基準のうち、消費するエネルギーの削減に関連するものが、一次エネルギー消費量です。
どのような視点でこの一次エネルギー消費量を評価するかは、省エネ性能の高いエアコンやLED電球などの有無に左右される電力使用量です。
エアコン・電球以外にも、一次エネルギー消費量の評価はさまざまな部分からされますが、主な対象は冷暖房・換気・照明のほか給湯となります。
省エネ住宅のなかには、太陽光発電など電力会社からの電力供給を抑えられる設備を持つものがあり、こうした住宅では自家発電を消費エネルギーから差し引けます。
省エネルギーを推進するための建築物省エネ法においては、住宅の一次エネルギー消費量基準の水準に、BEIを使うことがポイントです。
BEIは、設計一次エネルギー消費量を、地域ごとの基準一次エネルギー消費量で除した値です。
この値が1.0とイコールか1.0より小さければ、基準をクリアしていると評価されます。

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省エネ住宅にはどんな種類がある？

省エネ住宅と呼ばれるにはいくつかの性能基準があり、求められる省エネルギー基準より高い基準を満たす住宅があります。
こうした省エネ住宅には特別な名前があるので、それぞれの特徴を押さえておきましょう。

省エネ住宅の種類①ZEH住宅

ZEH（ゼッチ）住宅とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの頭文字から名付けられた省エネ住宅です。
このZEH住宅は、2050年の脱炭素社会実現を目指す政府により定められた、新しい省エネ住宅です。
ZEH住宅の特徴は、断熱性能やエネルギー消費量を抑えるとともに、太陽光発電などのエネルギーを生み出す設備を使用し、一次エネルギー消費量をほぼゼロにするところにあります。

省エネ住宅の種類②LCCM住宅

LCCM住宅とは、ライフ・サイクル・カーボン・マイナスの頭文字から名付けられた省エネ住宅です。
このLCCM住宅の特徴は、建築段階から解体・処分段階までの工程において、二酸化炭素排出量を減らすことを求めているところにあります。
また、LCCM住宅とZEH住宅とを比較してみると、LCCM住宅にはより厳しい基準がもうけられていることが特徴です。
さらに、LCCM住宅は省エネや太陽光発電による創エネのほか、長寿命であることが求められます。

省エネ住宅の種類③認定低炭素住宅

認定低炭素住宅とは、二酸化炭素排出量を減らすよう工夫された省エネ住宅です。
2012年に施行されたエコまち法では、低炭素建築物認定制度において認定された住宅を認定炭素住宅としています。
この認定低炭素住宅に認定されるには、一定の省エネルギー性能を有していることだけでなく、節水機器・エネルギー消費を管理するHEMSの設置などが条件です。

省エネ住宅の種類④スマートハウス

スマートハウスとは、太陽光発電による発電と、蓄電池による適切な電力使用が可能な省エネ住宅です。
スマートハウスでは、太陽光発電システムとともに、蓄電池・省エネ家電・HEMSなどの設備が必要になります。
ZEH住宅は一次エネルギー消費量をほぼゼロにする住宅ですが、スマートハウスは自家発電した電力を家庭で上手に使うことがポイントです。

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まとめ

省エネ住宅と呼ばれるには、断熱・日射遮蔽・気密の3つの性能が必要です。
省エネ住宅の性能を評価する基準には、外皮基準・一次エネルギー消費量の2項目があります。
省エネ住宅の購入をお考えならば、ZEH住宅・LCCM住宅・認定低炭素住宅など、具体的な省エネ住宅の種類もチェックしてみてください。